修繕積立金の2つの積立方法
(問題点)
修繕積立金の2つの積立方法(均等積立方式と段階増額積立方式)の違いについて教えてください。

(解決の糸口)
修繕積立金の積立方式には、均等積立方式と段階増額積立方式があります。その方式の具体的内容は文字通りであり、積立開始時点から同額を積み立てる均等積立方式に対し、徐々に積立金額を増額するのが段階増額積立方式となります。
均等積立方式
将来にわたり定額負担として設定するため、将来の増額を組み込んでおらず、安定的な修繕積立金の積立てができます。マンション購入当時の負担は大きいですが、修繕積立金の残高の計算が容易で、長期修繕計画に沿った計画的な工事を実施しやすいと言えます。とはいえ、長期修繕計画の変更により、増額の可能性がないわけではありません。

段階増額積立方式
修繕資金需要に応じて積立金を徴収する方式であり、当初の負担額は小さく、多額の資金の管理の必要性が均等積立方式と比べて低くなります。マンションによっては積立開始時期に修繕積立基金という一時金を徴収するケースもあります。
しかしながら、将来の負担増を前提としており、計画どおりに増額しようとする際に組合員の合意形成を取る必要があり、手続きが煩雑になりやすく、合意形成がうまく取れず修繕積立金が不足する場合があります。
また、将来にわたって積立金が増額していくということは、老後の生活費からの徴収額が多くなることを意味しており、マンションの老いと居住者の老いに対して不安を残す方式となります。

将来的な不安要素が少ないことから、国土交通省は均等積立方式を推奨していますが、平成30年の国土交通省の調査では、現在の修繕積立金の積立方式は、均等積立方式が41.4%、段階増額積立方式が43.4%であり、完成年次別内訳をみると、完成年次の新しいマンションほど段階増額積立方式となっている傾向が多いようです。これは新築マンション購入時の家計への負担をなるべく少なく見せようとする販売戦略の可能性を否定できません。しかし、当初の少ない金額での積み立てを放置していると、いざ大規模修繕工事を実施する段階になって資金不足となる可能性もあるので、こまめに長期修繕計画を見直し、修繕積立金の見直しをすることをお勧めします。